2024 年12 月にDFree をご導入いただいた特別養護老人ホームさくらの里さま。
導入後の職員さま向け説明会を終え、これから本格的に運用を開始されます。
施設長の古村香さまにDFree 導入の背景や今後の展望についてお話を伺いました。
(インタビュー実施日:2025 年1 月16 日)
経験と勘からの脱却を目指して
DFree をご活用いただいた背景を教えてください。
私たちの法人は開設から22 年が経過し、特別養護老人ホームを中心に事業を運営してきました。私たちの施設では、ケアに関して経験や勘に頼って実践している一面が課題としてありました。
特に排泄に関しては自立支援に向けた取り組みが大切だということはわかっていても、排泄介助のタイミングが合わず、トイレでの排泄につなげられないという状況でした。結果、漏れないようにどのようにおむつを当てて行こうか…という流れに陥りがちでした。
本当はトイレでの排泄を目指していきたいけれども、なかなかうまく進めていけない状況でした。
長野県伊那市の実証事業でDFree と出会う
どういった経緯でDFree を知りましたか?
介護ロボットの導入が全国で進んでいる中で、排泄予測支援機器があるということは知っていました。
さらに、当施設は長野県伊那市にあり、DFree さんと伊那市が実施している一般市民向けの実証事業(ウェアラブルデバイスを活用した外出機会創出実証事業)について広報かホームページで見て興味を持ちました。まずはぜひ自分で試してみたいと思い、私自身が住民モニターをさせていただきました。
DFree でどのように尿を検知して見える化できるのか非常に興味がありました。自分の尿意とたまり具合の数値との連動を確認でき、介護で利用者様にも使えそうだなという感触を得ました。DFree をどこに装着したらいいのかということや、装着する位置によるデータへの影響について、体感できました。
自分が実証事業に参加し使ってみていることを職員に伝え、施設の利用者さまに導入してみたらどうかと提案してみました。
職員さまの反応はいかがでしたか?
「面白いね!」という反応でした。DFree のことを知るまでは、膀胱内の尿量が可視化できるというのがどういうことか、想像もしていない状況でした。そこから、「トイレ誘導のタイミングがわかるようになったらいいね」と興味を持ってもらえたように思います。
DFree を使う前に懸念点はありましたか?
「膀胱内の尿のたまり具合を検知できるなんて本当なの?」ということですね。そこはやってみなきゃわからないと考えていました。初めて使用する機械でしたので、取り扱いや装着の手順、介護ロボットを扱うことが施設の環境的にも難しくないだろうかということ、そして故障や紛失への不安もありましたね。
トライアルで懸念点を解消
懸念点や不安はどのように乗り越えましたか?
トライアルができたことで、懸念点や不安を払拭できました。
「こういう機器があるよ」ということを伝え、きるだけ多くの職員に見て・触れて・使ってみていただくようにしました。
そして、営業、カスタマーサクセスの方とのオンラインでのやり取りが丁寧でわかりやすかったです。やはり製品と説明書を確認するだけでは不安なことが多いですが、スケジュールを相談しながら進め、疑問点に対してひとつひとつ具体的に回答していただけたのが心強く感じました。
職員さまや利用者さまの反応はいかがでしたか?
DFree を装着して画面に尿量のグラフが出てきた時は「面白いね!」「こうやって可視化されるんだ!」という反応でした。
新しいことに着手するには、いかに興味を持てるかが関係してくると思います。そういう意味では、「なんだか難しいな…」というところからではなく、「面白そう!」という印象から入って行けるのは大事だなと思いました。
また、利用者さまからは不快感などの訴えもなく、違和感からDFree をいじってしまうようなこともありませんでした。
介護ロボット補助金を活用し、DFree 導入
DFree 導入をどのようにご検討いただいたのでしょうか?
まず役職員の会議で検討しました。介護ロボットやテクノロジーに関しては、やはり効果を期待し導入したいという方針と、その際には介護テクノロジー支援補助金を申請したいと考えていました。DFree の他に、見守り機器やパワーアシストスーツ等を試してはいました。
DFree のどの点をご評価いただいたのでしょうか?
トライアルを経て、職員から「DFreeを他の利用者さまにもぜひ使ってみたい」という意見が出たことが一番の決め手です。特定の方だけではなく、多くの利用者さまに使って行けそうなイメージを持てました。また、補助金の申請に際しても、きめ細かなサポートがあったので、今回はDFree の導入に向けて進めようという話になりました。
議論点・懸念点として挙がった点はありますか?
新しい機器を入れるということで、どうしても今までの排泄ケアにプラスひと手間になってしまう側面もあると思います。また、取得したデータをどのように評価していくかという点を含め、運用を継続し、定着させることが今後の課題かなと思っています。
一歩ずつ着実に活用の幅を広げたい
今後のDFree 利用における展望を教えてください。
職員がDFree の使い方に慣れることを最優先にしていきたいです。パッド交換の方に対して決められた時間だから交換するということではなく、データをもとに根拠を持ってケアを行えればいいなと思います。
職員が使い慣れてきたら、排泄の自立支援への取り組み、トイレでの排泄の取り組みにつなげていけたらと考えています。排泄パターンを知ることで漏れの防止や、更衣の回数が減少するという点も、利用者様職員双方ににとって大きなメリットです。
ゆくゆくは排尿しきれているかの確認や、膀胱留置カテーテル抜去後の自尿確立に向けて活用の幅を広げることも期待したいです。
定着するには時間がかかるとは思います。色々な介護ロボットについて、導入したけれど結局面倒になって使わなくなってしまうという声を非常によく聞きますので、そういうことが無いように、とにかく少しずつでも無理ない程度に使っていきたいという風に考えています。効果がどのように出てくるかを楽しみにしています。
運用の継続と定着、そして「トイレでの排泄自立支援」という目標の達成に向け、今後もさくらの里の皆さまと一緒に取り組ませていただければと思います。
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