トイレ介護の失敗を減らす排泄予測機器DFree
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自立支援を目指してーそうさぬくもりの郷に聞くDFreeで変わる排泄ケア

介護老人保健施設そうさぬくもりの郷

匝瑳市

〒289-2153 千葉県匝瑳市中台305番地 / 介護老人保健施設

100名(短期入所・介護予防短期入所を含む)

2024年11月にDFreeを3台導入いただいた、そうさぬくもりの郷さま。施設ケア部長の山﨑さまと排泄係の青柳さまに、DFree導入の背景や今後の展望についてお話を伺いました。
(インタビュー実施日:2025年10月28日)

DFree導入前の状況

DFree導入前の状況について教えてください。

限られた情報のなかで、もどかしさを感じていた

DFree導入する前は排泄係を中心に、排泄ケアの見直しを行っていました。介護職員からは、尿漏れが多い方や、頻回なトイレにお困りの方など、排泄係へ多くの相談が寄せられておりました。その状況に対して、排泄係も同じ思いがあるものの、限られた情報のなかでは伝えられることにも限りがあり、もどかしさを感じていました。「時間を変えてみようか」「パッドの吸収量を大きいものに変えてみようか」と、係の主観で伝えることしかできず、困っている状況でした。

DFreeをご活用いただいた背景を教えてください。

データを基に医師の診断につなげることができた

そんな時にDFreeのトライアルを行い、職員からいい反応が得られました。トライアルでは、食事を摂取できているのにも関わらず、排尿がなかなか見られない方にDFreeを使用しました。その結果、膀胱内には尿をしっかりとためられていることが発覚しカテーテルの留置につながりました。「やっぱり尿はたまっていても、上手く排尿できていなかったのか」と、データとしてしっかり把握できることのメリットを実感しました。また、データを基に医師の診断につなげることができた点に、画期的だと思いました。DFreeを使用する前は、気になっていてもどうしたらよいのか、なかなか話が進まない状況だったため、「とてもいいものだね」と職員間で話していました。

DFree導入後の運用状況

DFree導入後はどのように運用されていますか?

装着の目的を考えて対象者を選定

対象者の選定は、各介護職員からの意見をもとに、排泄係が主体となって行っています。個別で排出係の方に「この人どう?」「DFreeを使ってみたらいいんじゃないかな?」と声をかけてもらっています。職員から声があがるのは、尿漏れが多い方や少し頑張ればトイレ誘導が可能そうな方など、どこかに困りごとを感じているケースが多いです。

ただ装着するだけでは意味がないので、DFreeを装着する意味を考えないといけないと思います。そこで、対象者をピックアップするために、5つの選定項目を設けています。DFree使用の希望があった時に、各項目に該当する方の名前を記入できるシートを用意し、常に対象者を募集しています。記入シートは朝夕の申し送りで使用するファイルにセットしています。

【対象者選定の5項目】

  • 在宅復帰を検討しており、在宅で排泄ケアを行うタイミングを把握したい方
  • 排泄の訴えが多い方で、夜間不眠や尿もれの問題がある方
  • 新規入所者で排泄の傾向を把握したい方
  • おむつを使用しているが、トイレでの排泄動作が可能な方
  • 立ち上がりが出来、失禁が少なく、オムツからリハパン、布パンツへの変更が検討できる方

選定途中に施設内の状況が変わることが多く、体調が悪化されるケースや、退所されるケース、自立状態まで回復されるケースもあります。
退所の日にちが決まっていることもあり、在宅復帰予定の方はスケジュールを意識して、優先的に使用しています。施設にDFreeが3台あるため、その空きをみて、職員が困りごとを感じている方に使用しています。

係を主体に運用できるよう、事前にスケジューリング

基本的には3週間、各利用者へDFreeを装着しています。一気に3名へ装着を開始して、同じ期間使用するようにしています。理由は、バラバラに全員が使い始めてしまうと、係が把握しきれなくなってしまうためです。1週ごとに勤務希望を入れているため、装着開始と終了のタイミングで排出係が出勤しているようにスケジューリングしています。そうすることで、装着期間の周知が徹底できています。

装着前後では、年間で作成している「DFree運用カレンダー」をもとにカンファレンスを行っています。カレンダーは、以前、時間を作ってどうやって運用していくかを係で話し合って作成しました。
ケアの方針が決定するまでには、排泄係だけでなく、他職種で意見を出し合う必要があります。そのため、月に1回の業務カンファレンスで相談ができる流れになるように意識して、スケジュールを組み立てました。

【DFree 運用カレンダー】

  • 1週目:排泄カンファレンス
    • 新規対象者の情報整理
    • 前回までの対象者のケアの見直しや評価
  • 2週目:オンライン相談会
    • DFree提供のレポートをもとにケア方針を検討
  • 3週目:排泄カンファレンス2回目
    • オンライン相談会の内容を踏まえてケア方針の意見交換
    • 新規対象者を検討し、情報を確認
    • 使用スケジュールの決定
    • 役割分担の確認

機器の活用を進めるうえで他に工夫されたことはありますか?

役割分担を明確にし、取り組みやすく

前述の運用カレンダーと合わせて、DFree使用開始時と終了時の役割分担も事前に決めています。各分担と実施日を決めたら、DFree運用カレンダーに記入しています。装着開始時と終了時の周知も重要ですが、入浴時にDFreeのシートを貼り変える作業が発生するため、浴室でも対象者を管理できるように工夫しています。私たちの施設では、浴室で日頃使用しているボードにて、対象者のお名前の横に「D」と目印をつけています。

見える形で分担してみたら、一人当たりの負担は思いのほか少なく、心持として取り組みやすくなったように感じます。

【DFree役割分担】

  • 使用前の役割分担 ~開始するまでの流れ~(排泄係)
    • 対象者情報を整理し、カスタマーサクセスへ共有
    • DFreeアプリの設定/DFree本体に名前テープを貼る(管理のため)
    • 中継器の設置
    • 使用開始の周知(各フロアの申し送りと浴室のボードにて管理)
    • 備品の補充
    • DFree本体にネームを貼る
    • データの取れ高について、カスタマーサクセスに確認
  • 使用中の役割分担(全員)
    • DFreeの脱着と充電
    • 不具合や皮膚トラブルに関しては、随時協力して連絡を取り合う
  • 使用後の役割分担 ~終了からオンラインまで~(排泄係)
    • DFreeアプリの設定
    • 中継器とDFree本体の回収と消毒
    • 使用終了の周知(各フロアの申し送りと浴室のボードにて管理)
    • 次回のカンファレンスとオンライン相談会の勤務希望を記入
    • 消耗品の在庫確認と補充

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DFree使用の効果

間もなくご導入から1年になりますが、何か変化はありましたか?

できるケアを探そうという意識に変化

大きく2点あります。1点目が「まずはDFreeを使用してみようという意識です。
DFree導入当時、職員みんなでDFreeに興味津々でよく取り組んでいました。今振り返ると、当時の事例が特に印象的で、意識が変化したきっかけとなっていたように感じます。

その方は横を向くだけでも漏れやすく、尿漏れが多いことが課題でした。DFree使用前は1日4回の排泄ケアを行っていましたが、尿漏れや便いじりがあると追加の対応が必要になり、1日で5,6回ケアに入ることもありました。他の漏れの対策としては、一度に3枚のパッドをあてる工夫を行っていました。それでも、毎回衣類まで尿汚染がみられる状況は変わらず、1日で最低6~12枚のパッドを使用していました。
今振り返ってみると、パッドの不快感からおむついじりを繰り返していたように感じます。

衣類汚染があると、ご家族様に洗濯をお願いしないといけないのですが、週に何枚も洗濯いただく状況があり、ご家族様からご指摘いただくこともありました。そこで、介入回数を増やしてでも、しっかりと対応しないといけない、という思いがありました。

DFreeを装着し、データをもとに排尿傾向のつよい時間に絞って介入時間を調整した結果、現状ではパッド1枚でも問題なく過ごせています。
ADLの変化もありますが、排泄ケアの回数は3回に削減でき、衣類交換もほとんどありません。そのため、1日に使用するパッドは6~12枚⇒3枚以下に削減できています。

尿量が多い方への対応を見直すきっかけとなりました。パットの使用枚数を増やすのではなく、排尿がみられる時間帯をデータとして把握し、排尿のサイクルに合わせておむつ交換することが大切だと感じました。そこは職員の視点がかなり変わった瞬間だったと感じています。
「DFreeがあるなら、まずはデータを出してみようか」っていう意識につながりました。

2点目に職員同士でよく考えるようになりました。
DFreeの活用と同時並行で、おむつの当て方に関する勉強会も開催し、ケアを根本的に見直しました。その結果、ギャザーが適切に装着されていないケースがあることに気づくことができました。
トイレに座ってすぐに立ち上がってしまう方もいたのですが、トイレに座ったらまずは腹圧をかけられる姿勢をとるとか、なかには腹部に圧を加えると排尿が見られる方もいたので、しっかりと腹圧をかけてみるとか、できるケアを探そうという意識に変わりました。もちろん排尿を促す方法を知っていた職員もいたと思いますが、なかなか実践できていない部分もあったので、みんなで考えてケアを改善できるようになりましたね。

自立支援や在宅復帰の場面で活用できた事例はありますか?

DFreeのデータを参考に、在宅復帰時の提案へ

在宅復帰が決まってる方に対して、DFreeを活用した事例があります。
事前にケアマネを通して、ご家族様が夜中のケアが可能かどうか話を伺い、ご家族さまの希望に合わせた在宅復帰時の提案につなげました。あるケースでは、「夜はとにかくオムツで寝て欲しい」というご家族様の希望があったため、DFreeのデータからわかった日中帯でトイレに頻回に行かれる時間や、排尿される時間帯をお伝えし、できるだけ日中のうちに排尿しきるようなケア(排尿時の姿勢や、腹部に圧をかけるケア方法)を伝達しました。

ただ、希望とは裏腹に夜10時頃にベッド上で端坐位になる傾向も把握できました。ご家族様にとっては大変だと思いますが、「転倒のリスクがあるようであれば、トイレに1回座るとよく寝られそう」「もしくは寝る時間を10時くらいの遅めの時間に調整して、入眠直前におむつ交換するのはどうでしょうか」と、ケアマネを通して文書で数パターンのケア方法をご提案しました。他にも、トイレに行ったことを忘れてしまうご様子があったので、オンライン相談会でDFreeの方から提案いただいた方法(トイレに行ったことをご自身でノートに記入いただくこと)もお伝えしました。

ケアマネさまより

ご提案の際、「こんなに細かなケアをしていただいたんですね。ご指導ありがとうございます。」という言葉がありました。
関心や興味を抱かれた様子で、在宅復帰後の困ったときに参考にしてみたいという意欲が感じられました。
在宅での介護が始まるご家族様にとっては、これからの生活に不安がある状況において、とても心強い情報になったようです。また、データに基づいたわかりやすい説明に大きく頷かれ、納得されているようでした。

さいごに

今後はどのように活用していきたいですか?

自立した排泄ケアを目指し、様々な方法を試していきたい

生産性の視点からも1年間の目標や成果として、職員の負担が軽減したか、パッドの使用枚数が少なくなったか、という点も求められており、そこも結果として成果が出せたらいいなと思います。しかし、一番はご利用者の排泄動作が自立して、失禁なく過ごせる状態が達成できたらいいな、と思います。ただ、失禁はすぐに改善するものでもないと思うので、今後も様々な方法を試していきたいと思っています。先日もDFreeミライの排泄ケアセミナーで、骨盤底筋体操を教えてもらったので、定期トレーニングもやっていけたらいいなと考えています。やってみないとわからないことが多いと思うので、様々なアプローチ方法を取り入れながら、自立した排泄ケアができるようになればと思います


在宅復帰後もより良く過ごせるように、とご家族の希望を尊重したご提案をされているというエピソードに、職員の皆さまの温かさを感じました。引き続き、DFreeの活用やケアのヒントになるようなセミナーの開催を計画しておりますので、理想とされる自立した排泄ケアの一助となれたら嬉しいです。今後もDFreeがお役に立つことができるよう、弊社一同サポートさせていただけたらと思います。

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