2023年11月にDFreeを導入いただいた特別養護老人ホーム ノテ船橋さま。「船橋で介護の質をナンバーワンにする」という強い思いをもつ施設長の林さまと排泄委員のみなさまに、DFreeの活用背景や効果、今後の展望についてお話を伺いました。
(インタビュー実施日:2024年8月28日)
インタビュー参加者
- 施設長 林さま
- 排泄ケア委員会委員長 湯浅さま
- 排泄ケア委員 伊藤さま
おむつコスト削減を目指して
DFreeをご導入いただいた背景について
DFreeの導入を検討している時期はおむつコストが月々70万くらいかかっており、同法人内の他施設と比較しても、かなりコストがかかっている状況でした。そこで、根拠をもっておむつやケアを見直していく必要性があると強く感じていました。(林さま)
DFreeの導入前は、尿量が多い時間帯に尿測を行っていました。特に夜間帯はしっかりとお休みいただくことが第一だと考えています。どうしたら睡眠を阻害しないケアが行えるかを考え、尿測を行うことが多かったです。まずは課題感の大きい方から尿測を行い、最終的には全員に行っていこうと取り組んでおりましたが、そのなかで悩みもありました。
尿意や便意を伝えられない方の場合は、いつ排泄介助に入ったらよいのか、悩むこともありました。ご様子を観察することでタイミングがつかめることもあれば、上手くいかないこともありました。
「最期まで失敗したくない、自分でトイレに行きたい」というお話もよく耳にしますし、尿失禁による不快感を軽減して差し上げたいという思いもあり、もどかしさを感じていました。(伊藤さま)
ケアの根拠や分析機能に期待してDFreeを導入
ケアの見直しにはアセスメントが最も重要だと考えています。DFreeを使用することで、データとしてケアの根拠がもてる点、またデータの分析機能において、ぴったりだと感じました。
私は「人の頭で考えられることには限界がある」と思っています。機械に任せられる部分は機械を活用し、別なところで人の力を使い、「職員のレベルを上げていきたい」という思いがありまた。そのため、アセスメントの材料を集める部分をDFreeに任せてみようと思いました。(林さま)
最初は正直なところ、DFreeは高価なものですし、本当に成果が出せるのか不安やプレッシャーがありましたね…。トライアル中で、DFreeの良さもまだ把握できていない段階から導入の話が進んでいて、現場としては驚いていました。
今となっては、膀胱状態がきっちりとデータ化・みえる化できることでケアの仕方が変わってきていて、結果として良かったと感じています。
職員のなかには責任感が強い者が多く、尿測を行うなかで、上手く測定できなかった等の失敗があった際に、責任を感じている職員もいました。DFreeは装着中のデータがしっかりと残るので、そこもDFreeの良い所だと思います。(伊藤さま)
施設長から排泄委員会へ、排泄委員会から施設全体へ
DFree活用を推進するおむつゼロプロジェクトとは
元々、ノテ福祉会には各施設に「おむつゼロプロジェクト(排泄委員会)」があります。取り組みは各施設によって異なりますが、ノテ船橋でも月に1回、排泄委員で集まり、活動をしています。
DFree導入前は、日々の気づきをあげて、ケアの見直しを検討したり、排泄ケアに関する勉強会を行ったり、と定型の議題は設けずに活動していました。その当時は、施設長の私から「ここはどうなっているの?」と突っ込むことが多い状況でして、職員のやらされ感が出ないためにも、「職員に自分たちで考えてもらいたい、課題意識をもってもらいたい」と思って試行錯誤していましたね。(林さま)
目指すべきケアの言語化をきっかけに
職員の意識にアプローチするために、まずはじめに作成したのが「ノテ船橋排泄7箇条」です。目指すべきケアの状態を言語化しました。そこからは、職員のなかでもケアへの視点がつかめてきたのか、少しずつ意識が変わってきたように感じています。(林さま)
ノテ船橋排泄7箇条
1.配慮のあるケア
2.薬に頼らないケア
3.適切なおむつを使用
4.清潔のケア
5.自立排泄
6.選択できるケア
7.羞恥心に配慮したケア
そして、リーダーに自分の思いを伝えることから始めました。「こういうことがやりたい!」という気持ちや熱量は、言葉にしていかないと伝わらないと思っています。
排泄=ライフワークというイメージがあり、どうしても気づきや課題意識を持ちにくいように感じています。そのため、職員を巻き込んでいくまでには、私が中心になって伴走的に行っていく必要があると考えていました。私がしつこく「ここはどうなんだ?」と経過を確認するので、初めのうちは職員もやらざるを得ない状態だったと思います…。(林さま)
質の高いケアは、数字として結果が証明される
各フロアのケアの状況を可視化したことが、最も効果的だったと感じています。
私はケアの質と数字はセットだと考えています。質の高いケアが提供できると、それが後から数値として結果が出てくると思っております。そこで、各ユニットの排泄ケアの状況を分析して可視化しました。具体的には、「おむつやパッドの使用枚数・コスト」、「布パンツの使用率」、「トイレ誘導率」、「トイレ誘導の回数」「尿路感染者数」等です。
当事者意識をもって「やばいな」と感じてもらいたくて、ユニット毎の各数値を算出し、ランキング形式で掲示しました。そうすることで、自分のユニットの順位が下がると「頑張らなきゃ」と危機感を感じているようでしたね。他のユニットとの比較ができるようになったことで、競争心や職員のモチベーション、課題意識につながったのではないかと思います。(林さま)
サービスの質を向上させたい、という思いのもとDFreeを活用
初めのうちは皆が同じようには使えない状況もありました。連絡ノートで使い方を周知していましたが、使い方が曖昧な職員もおり、統一した使い方ができるようになるために、少しずつ慣れていっている状況です。(伊藤さま)
DFreeで取れたデータをケアに反映していくサイクルのなかで、リーダーと職員間の関係性も重要だと考えています。
リーダーという立場から、DFreeのこと以外でも職員同士で和気あいあいとコミュニケーションをとることを日頃から意識しています。また、「あぁしなさい。こうしなさい。」と言わないようにしています。
リーダーとして「違う」と思ったことははっきり伝えますが、他の職員の意見もまずは耳を傾け、取り入れてみようというスタンスでいます。なるべく、「こうしたい」という思いは叶えてあげたいと思っています。何かを伝える時は、職員それぞれに合った伝え方を探していますね。(湯浅さま)
特に、このユニットは断トツですごいんですよ。おむつの発注額も、布パンツの使用率も、トイレで排尿されている方の割合も。職員が利用者さまをお客様として見ていて、常にサービスの質を考えていると感じています。(林さま)
DFree使用の効果
パッドのサイズダウンや自立支援の効果を実感
これまでのDFree使用の効果を振り返ると、初期には、排尿サイクルと排泄介助との時間のズレが把握できた事例が印象的でした。
DFreeのデータをもとに、排泄介助の介入回数を見直したことで、最大サイズのパッドから2段階サイズダウンができました!その方は尿路感染症になりやすい方だったので、排尿パターンが把握できたことで、より清潔、且つ健康的な生活につなげられてよかったと感じています。
また、自立支援につながっている事例もあります。元々は車いすを使用されている方でしたが、歩行が可能そうだということで、DFreeを使用してみました。DFreeの数値をもとに、膀胱に尿がたまっているタイミングでトイレ誘導を行ってみたところ、しっかりとトイレで排尿できることがわかりました。自分で歩けることが自信につながったのか、トイレに行きたいという認識もみられるようになりました!(湯浅さま)
DFreeのデータをきっかけに、ケアの質の差が埋まっていく
DFreeを導入してから、どこのフロアもケアが行いやすくなっているように感じています。「パッドのサイズを下げてもいいかな?」と感覚的に感じていたところに対して、根拠がもてるようになったことで検討が進みやすくなりました。
経験の少ない職員の場合、尿失禁が多いから大きめのパッドを入れようと考えることがあります。それに対し、ベテランの職員の場合はDFree的な視点があって、排尿パターンがつかめていないんじゃないか?と、ケア時間を見直そうとするんですよね。DFreeを使用するようになってからは、データという指針があることでケアの質の差が埋まってきたと思います!(湯浅さま)
今後の展望について
利用者さまの快適性向上に向けて、目指すは全員にDFreeを装着!
「ご利用者さま全員にDFreeをつけていきたい」「全員にDFreeを使用することに意味がある」と思っています。
私たちの第一の目標は、利用者さまに不快感がないように過ごしていただくことです。特にご自身で訴えられない方は、気付かぬ間に不快感を感じられているかもしれません。そういった方へのDFreeの使用は特に有効だと考えています。ただ、課題感の大きい方のなかには、DFreeを外してしまう懸念のある方もいらっしゃるので、装着シートだけ貼って様子を見てみたり、装着を気にされるご様子がないか確認してみたり、工夫をしながら使用を検討しています。
ご利用者さま全員に活用していくことで、根拠のあるケアを行っていき、全員がより快適に過ごしていただける施設にしていきたいです。(湯浅さま)
ノテ船橋さまでは、排泄委員会を中心に継続的にDFreeをご活用いただいております。施設長の林さまや、排泄委員の皆さまによる、施設全体を巻き込んでいくためのお取り組みは、今後の業務のヒントになる方も多いのではないでしょうか。
根拠のあるケアやご利用者さまの快適性に向けて、今後も一緒に取り組ませていただければと思います。
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