2024年12月にDFreeを3台ご導入いただいた、特定施設入居者生活介護 のんびり村花岡さま。
導入後、6名のご利用者さまにご使用いただきました。
施設長の吉田克三さまにDFree導入の背景や今後の展望についてお話を伺いました。
(インタビュー実施日:2025年1月23日)
定時誘導から個別誘導への転換
DFreeをご活用いただいた背景を教えてください。
私たちの施設では基本的に定時誘導を行っています。しかし、それが本当に入居者さまにとって適切なタイミングなのかを疑問視していました。また、認知症の方からのトイレの訴えが尿意によるものなのかわからないという課題もあり、膀胱の状態を可視化できないかと考えていました。
さらに、定時誘導では同じ時間に一斉に20名近くの入居者さまを誘導するため、職員への負担も大きくなります。生産性向上の観点からも見直しが必要だと感じていました。DFreeのことは以前から知っていたため、DFreeを使用して膀胱の状態や排尿のタイミングを確認することで、きちんと適切な時間に排泄ケアができればいいなと思っていました。
介護記録ソフトと見守り機器導入を経て、排泄ケアの改善へ
DFreeをトライアルしたきっかけを教えてください。
介護業界の潮流として生産性向上が推進されている中で、私たちの施設でも加算を取得し、生産性向上委員会を実施するなどの取り組みを行っています。介護記録ソフトと見守り機器(眠り解析センサー M-Sleep Bio)を導入後、排泄ケアの改善に取り組もうと決めていました。
まずは記録を紙媒体から介護記録ソフトに移行したことで、記録に掛かる時間が大幅に削減されました。次に、職員の巡視の負担を減らすために見守りセンサーを全床導入しました。私たちはお看取りの対応も行っていますので、入居者さまの状態が可視化されることで夜勤者の不安や負担感が軽減され、いざという時にも素早く対応できるようになりました。
冒頭でも申し上げた通り、定時誘導では同じ時間に一斉に20名近くの入居者さまを誘導しています。そうすると、トイレに行ったけれどもタイミングが合わず排尿が見られない、ということがあります。それによる職員の精神的な負担を軽減することも目的としています。
DFreeを使う前に懸念点はありましたか?
入居者さまのお体に直接装着するのは大丈夫なのか、認知症の方が外してしまわないか、防水性は大丈夫なのか、本当に膀胱の状態を可視化できるのか、といったところが気になっていました。
トライアルではどのようなことを実施しましたか?
定時トイレ誘導しているが空振りが多い方、トイレに行きたいという訴えがあるが排尿状況にムラがある方、尿意の訴えが頻回な方にDFreeを使用しました。
使用前の懸念点は解消されましたか?
はい、入居者さまから特に違和感の訴えはなく使用できました。膀胱状態の可視化についても想定通りしっかりとできました。しかし、腹部の手術痕により検知が難しかった方は1名いらっしゃいました。
排泄ケア技術を平準化すべくDFree導入を決断
DFree導入をどのようにご検討いただいたのでしょうか?
生産性向上の取り組みの中で、次は排泄ケア改善に取り組もうとターゲットを絞っていたため、DFreeを導入することに関してはすんなり決まりました。
排泄に関することは何も目に見えないんですよね。食事であれば摂取量として目に見えますが、排泄はそうではありません。そのため、ベテランの職員であれば気づくことも、若手は気づかないなど、経験値に左右されてしまう側面があります。例えば、入居者さまがモゾモゾ動かれている時に「トイレに行きたいのかもしれないな」と気づく職員とそうでない職員がいるわけです。なので、排泄の状況を可視化して技術を平準化する必要があります。
また、介護業界の人手不足に対応するためにも導入は必要だと考えていました。ICT化を進めて労働環境を改善するとともに、誰もが同じようにケアを行うための補助としてDFreeを使用していく必要性を感じていました。
導入に向けて議論点・懸念点として挙がった点はありますか?
トライアル後に職員にアンケートを取ったところ、「せっかく定時誘導での業務に慣れているのに、なぜDFree使うのか?」という意見がありました。何に関しても言えることだと思いますが、新しいことに挑戦することへの抵抗感があるんですよね。
導入に向けて、職員全員を集めてDFreeの使用目的をきちっと話しました。伝言ゲームになってしまうと私の意図が正しく伝わらない可能性もありますので、全員に一律に話をしました。
【 吉田さまから職員さま向けに展開したDFree導入根拠資料抜粋】
今回、施設としてD-Freeを3台導入することとしました。
今後、取り入れる経緯や目的を抑えて取り組む必要があります。(12/16全体説明)
導入の経緯
今、どこの施設でもトイレ誘導は定時誘導を行っている。だいたいの排泄パターンを把握して定時誘導を行う施設や、根拠もなく職員側の都合等で定時誘導を行う施設があると考えます。
また、全国的に介護職員の不足、養成学校等の減少で、質の高い介護職員の確保が厳しくなっている。
今回職員のアンケートを行った結果、食事の時間、口腔ケアの時間等と定時誘導が重なり、業務が忙しいとの意見がありました。また、18時等は職員が少なくなり時に、定時誘導が重なり職員の負担が大きくなっているとの意見がありました。
これからのケアのあり方として、定時誘導から個別性を重視した対応が求められます。
目的
①膀胱を可視化することで、その方(入居者)の排泄パターンや膀胱許容量等を把握することで、適切な個別排泄が行える。空振りを軽減することで、入居者の負担や羞恥心の軽減にも繋がる。(個別性のあるケアを実現するため。)
②職員の負担軽減と入居者の負担軽減を軽減する。(生産性向上)
③排泄パターンと許容量を把握できることで、適切なパットの選択ができ、オムツ等のコスト削減に繋がる。
④職員の生産性を上げることで、入居者との関わりを増やし、QOLの向上を図る。
⑤個別の排泄誘導を行うことで、睡眠の質と時間等の効果に繋がる可能性がある。(睡眠センサーと併用することでの効果)
⑥職員の生産性向上を図ることで、精神的負担が軽減し、虐待防止にも繋がる。(不適切な声かけ等)
⑦排泄を可視化することで、誰でも理解と実施ができるようにする。
どのように現場全体を巻き込んで実運用に乗せることができたのでしょうか?
導入後、実際に職員にも装着してもらう体験期間を2週間ほど設けました。DFreeの数値と自分の尿意が合っていることが実感できたことで、職員から前向きな意見が出ました。
【職員さまDFree体験後アンケート結果抜粋】
職員対象として計10名(男性4名、女性6名)で実施しました。
(結果)
・装着しているのを忘れるくらい違和感がなかったです。
・そろそろライン6でしたが行きたいと思う感覚はなく、8くらいで「行きたいかなぁ」と思いました。
・機器の装着で違和感やトイレ時の上げ下げ時に邪魔に感じたりするかもと思っていたが、装着していることを忘れるくらいの違和感のなさに驚きました。
(まとめ)
・職員が自身で体験することで、疑問に思っていた「違和感があるのではないか?」「邪魔に感じるのではないか?」「どのくらいでトイレに行きたいという感覚になるのか」などの疑問点は解決することが出来た。
・装着方法や位置についても自身で体験することで、スムーズに理解することができ測定できない時の対処方法も事前に知ることができた。
・全体の意見として装着時の違和感もなく、職員の動き回る動作にも外れたり、ゆるんだりすることなく装着も出来ていることが分かり、安心して入居者にも使用できると考える。
・今回は職員体験で体型にも違いがあったため、様々なパターンで測定出来たと考える。データを確認してみたが測定ができていなかったということはなかったと感じた。
私たちの施設には多くの施設さまが見学にいらっしゃるのですが、「ICT化を進めるにあたりどうしたら現場にやる気になってもらえるか?」というご相談は多くいただきます。
やはり、職員に導入の目的を明確に伝えることが重要です。説明する上でも根拠となるデータを提示することが必要です。
また、ランニングプランを作っておかないと、導入したはいいけれど使い道がないということになりかねません。
さらに、上層部の熱意とそれを展開していく部下の育成もとても重要だと考えています。
排尿・排便・睡眠の適正化に期待
現在の運用方法を教えてください。
看護師が排尿タイミングの分かりにくい18名の入居者さまをピックアップし、優先的に使用しています。DFreeのデータをもとに排泄ケア時間を変更することで、誘導時間を個人に合わせる取り組みを進めています。変更後のケア時間を介護記録ソフトに設定しておき、排泄記録を入力します。記録を分析することで、ケア時間変更前後での結果を比較検証できるようにしています。
入居者さまに1週間ずつ装着し、まずは日中の排泄パターンを調べています。その後、夜間帯の状況を把握していきたいと考えています。生身の体なのでDFreeで一度データを取っても排尿の状態や傾向は随時変化していくことから、見直しのために順次データを取り直していくことも必要になると考えています。
今後のDFree利用における展望を教えてください。
見守り機器(眠り解析センサー M-Sleep Bio)で睡眠の状況を、DFreeで排泄の状況を可視化し、2つのデータを統合して24時間を通じて睡眠と排泄の適正化をしていきたいと考えています。その先は、個人に合わせたパッドの選定を行い、できれば使用量の適正化ができることが理想です。
また、排便の課題解決にも取り組みたいです。現在、私たちの施設では2日間排便がなかったらアラートが出るように設定し、下剤を使用しています。今後は、下剤を使用するタイミングを適正化し、なるべく日中に排便がみられるように調整したいと考えています。夜勤は少ない人数で回しているので、夜間に排便があると職員への負担が大きくなります。排便に関しては今後生産性を上げられる余地があると思います。
まずはDFreeで排尿パターンをきちっと検証した上で、次に「DFree Ben」(※便汚染予防デバイス 2025年春期正式リリース予定)を使用する形になるかなと思います。そして排尿、排便、睡眠全てのデータを連動させ、分析まで持ち込めればと考えております。
排尿・排便・睡眠の適正化に向けて施設全体でDFreeをフル活用されているのんびり村花岡さま。目標達成に向けて今後も弊社一同サポートさせていただきます。
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