2024年12月にDFreeをご導入いただいた障害者支援施設かがみの育成園さま。
導入後の職員さま向け説明会を終え、これから本格的に運用を開始されます。
園長の中山智博さまにDFree導入の背景や今後の展望についてお話を伺いました。
(インタビュー実施日:2025年1月16日)
利用者さまの快適性向上のため検討開始
DFreeをご活用いただいた背景を教えてください。
施設全体として利用者さまの高齢化、重度化が進んでいます。それに伴って排泄の失敗が多くなり、それによるおむつのコスト増大はもちろんのこと、やはり失敗する頻度が増えると利用者さまの生活の質が下がってしまうという課題があり、どうしたらいいかなと考えていました。
現在、知的障がいのある利用者さま80名が入居されており、そのうち半数以上の60名は重度の障がいがあります。重度の方の中には排泄の訴えがない方も多いので、トイレ誘導と排泄のタイミングが合わないとか、さらに、おむつを常時使用するとなるとおむつかぶれや皮膚トラブルといった課題があります。
重度の方ほど尿意を感じてトイレに行く方が少なくなるので、こちらからお声掛けをして誘導するのですが、ご本人が尿意を感じていないと拒否をされたり、トイレから帰ってきてすぐ漏れてしまったりと、タイミングがうまく噛み合わないケースが散見されていました。
どういった経緯でDFreeを知りましたか?
最初は飛び込みの電話でした。正直なところ心証はあまり良くありませんでしたが、一度試してみないと評価できないと考え、トライアルをすることにしました。DFree自体は画期的な機器だと感じました。
DFreeを使う前に懸念点はありましたか?
腹部に直接装着する必要があるため、利用者さまが気になって触って取ってしまうのではないかという点が心配でした。また、データを取得するための中継機をコンセントに設置するのも不安でした。利用者さまの中には、いつもと違う物があると片付けたり、ゴミ箱に捨てたりしてしまう方もいらっしゃるためです。
結果的にトライアルを実施した部署にはそういった利用者さまがいらっしゃらず、うまくお試しができました。ただ、今後他の部署で使用した際にDFreeや中継機を外してしまう事案が出てくるかもしれない…とまだ不安なところではあります。
DFreeで膀胱の可視化とアセスメントに繋がった
トライアルではどのようなことを実施しましたか?
利用者さまの日中の排尿パターンを知るためにトライアルしました。
ご本人に説明して同意を得られた方や、大きな動きや拒否のない方、合計3名の方にご使用いただきました。そのうち2名は中・軽度の障がいがあってある程度理解ができる方、そして、もう1名は重度の障がいがあるものの恐らくDFreeを外さずに使えるだろうという方です。
トライアルの結果、1人目の方は思っていたよりも排尿しきれていないことがわかりました。
2人目の方は、日中横になったタイミングで排尿がみられるという傾向を掴めました。一日のどのタイミングで排尿されるのかがわかったということです。さらに「一度横になって休んでいただくと緊張が解けて排尿を促せるのではないか」という議論にもつながりました。
3人目の方はDFreeのグラフの推移から尿量が多いことがわかり、実は洗面所でかなり頻回に水を飲んでいることに気付きました。
これらの気付きを看護師に相談し、通院するきっかけになった方もいらっしゃいます。
DFreeを使用する上で考慮されたことはありますか?
本来の業務にプラスしてDFreeを運用することになるので、職員の負担は出てきます。なので、「DFreeを導入することで利用者さまの生活の質を高める支援に繋がっていく」ということを職員に説明して合意形成するのが大事だと思います。
また、ご高齢の方や皮膚の弱い方は、DFreeを装着することによる皮膚トラブルが心配でした。そのため、機器を常時貼りっぱなしにするのではなく、時間や期間を決めてデータを取って傾向を掴むという使い方を考えています。
DFreeで特に良かった機能はありますか?
「起き上がり通知」がすごく良かったです。
夜間帯にトイレに行こうとして転倒する方が増えてしまい離床センサーを導入したのですが、通知にタイムラグがあり、訪室した時には既に歩いてるということがありました。DFreeの「起き上がり通知」は的確で速いため現場から好評で、歩容に不安がある方に今後も活用したいという意見が出ています。
逆に活用が難しかった点はありますか?
貼り付ける位置によって正確なデータが取れるか否かが決まるのが難しいという意見が出ました。特にお腹周りがふくよかな方は何度かトライして位置を決めていく必要がありそうです。
今後の改善要望として、正しい位置に装着できていない時や、装着中に位置がズレている時に、音で知らせてくれる機能があったら嬉しいです。
現場からの高い評価を受け、DFree導入へ
DFree導入をどのようにご検討いただいたのでしょうか?
最終的な意思決定をしたのは私です。
トライアルをして現場の評価が高かったです。「この方にも使いたいよね」と利用者さまのお名前が上がってきました。現場の評価が高かったので最終的には補助金も活用しながら導入しました。
【現場職員の方からのレポート引用】
・排尿回数やタイミングの把握と思っていましたが、泌尿器の問題は健康状態に直結している事が分かりました。
・尿量が少ない事や、残尿があることなど、見えにくい利用者の問題が早く把握できると思いました。
・自ら不調の訴えの出来ない方の変化に気づける機器だと思いました。
議論点・懸念点として挙がった点はありますか?
行動障害があって、そもそもDFreeを装着することが難しい方がいらっしゃることです。
今後使用を考えているのはDFreeを装着できる方が前提になります。ただ、重度の方でもDFreeを外さずに使えそうな方は何名かいらっしゃるので、導入することにしました。
トイレでの排尿成功に期待
今後のDFree利用における展望を教えてください。
排尿の失敗が増えている方に使用していく予定です。トイレで排尿ができればご本人さまにとってその感覚が刺激となり、ひょっとしたら排尿の回数が増えてくるのではないか、と考えています。
また、入所の利用者さまは年に2回健康診断があります。トイレで排尿がない方の採尿をする際にDFreeを活用できるのではないかと考えています。
今までは、おむつに出してもらったものを絞って採尿していたのですが、ポリマーに吸収されてしまい、なかなか必要量を確保できませんでした。年齢が上がるほど尿検査の結果から重大な疾患が見つかるケースも出てくると思うので、重要な検査だと捉えています。
DFreeで排尿のタイミングが分かり、確実にカップで採尿できるようになるといいと思います。
DFreeはその人らしく生きる“Live Your Life”を応援しています。かがみの育成園の皆さまのお力になれるよう、今後も一緒に取り組ませていただければと思います。
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